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日本生態学会誌の特集で種分化と性選択について紹介してる 【生物学】【読書メモ】

Posted on: 12月 7, 2009

日本生態学会が発行してる日本生態学会誌の最新号(59巻第3号)が今日届いてた。「種分化における性選択と性的対立」というタイトルで特集が組まれてて、なかなか興味深い。

まだ一般公開されてないのが残念だ。内容的には、2008年3月の福岡大会での自由集会「Sexual conflictや配偶者選択がもたらす種分化~最近の動向~」に基づいたものらしい。

木村さんと安元さんの序文を受けて、伊藤洋さんによる種分化の一般的なパターンの解説から始まる。取り得るニッチの幅が環境の潜在的なばらつきより狭いときに、最適な形質値が複数ありうるために、分断化選択が起こる。こうしたパターンは特定の生態的状況や形質に依存せず、一般性を持つ(資源競争や捕食/被食関係、種間競争、協力etc)。しかしながら、分断化選択と同時に、ある値へ安定化しようとする選択も働くため、これだけで完全に種分化が形成されることはない。例えば、自分と似たようなものと選択的に交配する同類交配のメカニズムのような生殖隔離のメカニズムが同時に生じない限り、種分化は完成しない。こうした生殖隔離が進化するかどうかは、交配相手に対する選り好みの強さ、生態形質(自然選択の対象となる形質)と交配形質(選り好みの対象になる形質)との間の遺伝相関の強さによって決まってくる。

木村さんが引き続いて掘り下げるのは、自然選択と性選択の両方の対象に同時になっているような形質(=マジックトレイト)である。こうした形質なら、上の伊藤さんのところで出てきた生態形質と交配形質との遺伝相関の強さというパラメーターを無視することができる(ここでは、生態形質=交配形質となっているから)。こうした形質の実例として、イチゴヤドクガエルの体色やイトヨの体サイズに対する同類交配などの例が挙げられる。


/ Matt Lerow (flickerより)

ここから先は、性的対立(sexual conflict)の話が中心になってくる。性的対立というのは、交尾行動や子供のサイズ、子育てなどで、最適な利益をもたらす値が雌雄によって異なるために生じる異性間の対立である。林さんによって性的対立がもたらす結果の理論的な枠組みが説明される、オスとメスの間での共進化が生じることで、軍拡競争や平衡状態、またはメス形質の多様化、オス・メス両者の形質の多様化といった進化的帰結が考えられる。これらの結果として、種分化が生じる場合もありうる。

このあとは、安元さんの植物における性選択と性的対立の話が載ってたんだけど、そこまでまだ詳しく目を通せてない。続きはまた明日にでも、読むとするべ。

性的対立の研究について自分が知ったのは2年くらい前かな。ちょうど2008年の生態学会の直前くらいにRiceのショウジョウバエの研究を見つけて、すげーおもしれーと思った記憶があるけど、今ではすっかり話題として定着した感がある。
新しい研究もガリガリと進められてるっぽい。この辺の性的対立の話は、進化心理学として面白いトピックだと思うんだよね、誰か人間でこのあたりの内容を研究してくれないかな。

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