水槽と家具

貧乏暇なし農耕生活が人類進化のカギ? 10万年の世界経済史 その1 【経済】【読書メモ】

Posted on: 1月 19, 2010

人口統計学書籍の第二弾。前回の記事(新「人口論」生態学的アプローチ)は、地球上には何人住める?って話だったけど今回は、人口が増減すると一人当たりの分け前はどうなる?

 

原題 A Farewell to Alms: A Brief Economic History Of the World
邦題 10万年の世界経済史
著者 Gregory Clark
訳者 久保恵美子

 

本書は、人類の平均的な生活水準が1800年代後半の産業革命まで「マルサスの罠(*1)」と呼ばれる状態にあったことを示す。
これは、技術の進歩による生産の増大が人口増加によって打ち消され、個人の所得が増加しない状態を指す。こうした議論は目新しいわけでもない。例えば、ジャレド・ダイヤモンド文明崩壊で人口増加による環境の劣化が文明の存続を左右すると警鐘を鳴らしている。

この本は、計量経済学的にそうした問題へアプローチしている。特に著者の専門である
中世から600年にわたるイギリス経済の変遷には目を見張るものがある。所得だけでなく、
出生率や死亡率、孫の数といったデータはまさしく、人間の生態学といったところだ。少し残念なのは一般向けを意識したからか、データの標本数や相関係数といった統計量が示されない点。平均値の棒グラフにエラーバーが付いてないのは、さすがにNGだと思う。

まあ、英国経済史の膨大なデータから導かれた結論の要諦は以下のとおり

  • 所得水準が高いほど、子供の出生率は高く、孫の数も多く、死亡率も低い

マルサスの罠の状態にある社会では、人口が少なくなると所得水準が高くなる。
ヨーロッパでは黒死病により人口が激減したが、イギリスも同様でこの時期には労働者の所得水準が向上していることも示される。

  • 1800年代まで労働時間・所得カロリー・時間あたり労働効率、
    どの指標で見ても所得水準が歴史と共に「増加」した形跡はない

農耕生活の方が長時間労働の傾向がある。また、農作業者の所得のピークは20代後半なのに対し、狩猟採集民族の所得(肉の獲得量)のピークは40代。これは、狩猟採集生活の方が習熟するのに、様々な知識の習得が必要であることを示している。

  • 税制や社会階層の流動性といった経済以外の社会制度が原因ではない
  • ↑ はオマケだけど、

教会と封建領主に縛られた「暗黒の中世」というイメージが後世の作り物に過ぎないことを
示している。ただ、ヨーロッパ以外の地域からすると当時の都市の不衛生さは、まさに「暗黒」・・・だって、トイレとか風呂とか家畜とか・・・部屋のなかにお●るだよ?

でまあ、こうした経済学の知見を踏まえもう一つの主題が提示されるけど、それはまた次回に。

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