水槽と家具

電子書籍は羊皮紙装丁の夢を見るか 【経済】

Posted on: 2月 2, 2010

読書は好きだし、友人にも読書好きが多い。書店に勤めてる人もいるし、紙の本というのは眺めてわくわくするものだ。そんな彼らのために自分の現状認識を書く。

iApple iPad / nDevilTV

電子書籍端末がようやく使い物になる時代がやってきた。

たぶんテレビが登場したときから、いつかそうしたものが実現するのをみんな想像したはずだ。2004年に発売された日本のメーカーの製品は(*1, *2)、ビジネスとして成功しなかった。はじめてそれをうまくこなしたのはAmazonのKindleだ(知らない人はここのレビューをオススメする)。Amazonが電子書籍端末ビジネスの口火を切ることができた理由は単純だ。
Webベースの世界では情報の流通にコストがない、だから消費者が消費し尽せないほどの絶対的な情報量の提供こそが決定打となる。そして今月、AppleがタブレットPCのiPadを発表したことで、書籍の電子化はいっそう加速されるだろう。

雑誌、マンガ、新聞、ライトノベルといった書籍流通の大半を占める娯楽作品は、iPadのような商品と相性が良い。そうした大量の書籍コンテンツの所有/流通を世界規模で実行できる組織は、Amazon, Apple, Googleの3社くらいだろう。Amazon はそもそも書店だし、著作権問題にもなったGoogleの Google Books はおそらく世界最大の書籍バンクだ、最後にApple が遅れて iBook store を創設した。これらの企業が電子書籍の世界で重要なプレイヤーになるのは想像に難くない。

電子書籍が一般化するならば、経済的にも社会的にも興味深いことが起きるはずだ。
グーテンベルク以来の書籍の流通モデルに、根本的な改変が引き起こされる。

著作者 → 出版社 → 小売店 → 読者

これまで上のモデル以外の選択肢はほとんど無かった。
書籍の電子化はそうした拘束から自由にしてくれる。

ウォールストリートジャーナルの記事によると、Amazon は電子書籍の自費出版に支払う印税を最大で70%にするという。今後、出版社を通さずAmazon のようなサイトを通じて、著作者が読者に直接コンテンツを提供する機会も多くなるだろう。これは、いわゆる「同人」のビジネスモデルとまるっきり同じである。電子書籍は「本を書いて稼ぐ」という手段をより手軽に実現させてくれるだろう、あなたに才能さえあれば
このように、必要なパーツは社会のあちこちに散らばっていたことが良く分かる。結局、それらを強力に繋ぎ合わせる力が、これまでの日本のビジネスに足りなかったのだ。

その一方で、大手出版社21社は日本電子書籍出版社協会を設立するというニュースを聞くと、あたかも出版社とAmazonのような販売業が対立しているかに見えるが、両者の占める経済的なニッチは若干異なる。電子書籍の隆盛は、出版社の没落を意味しない。出版社は出版物の管理も重要だが、それ以上に編集者として、著者との共同作業によって著作を「仕上げる」役割を担っている。これこそが出版社の持つ固有な能力で今後、注力すべき分野となる。 印刷物を製造するという工業的組織から、作品の質を高めるため著者に助力を行うサービス業的組織へとシステムを変化させる必要がある。

    追記

販売されている/販売が予定されている電子書籍リーダーには以下のようなものがある。

日本の電子書籍が今後どうなるか楽しみだ。
たぶん、今回こそガッカリさせられることはないだろう。

Hearst:Skiff:Skiff Reader
Barnes and Nobles:nook
Foxit:eSlick
Sony:Reader

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