水槽と家具

日本人がトロ好きなんて、誰が言った? 「マグロ戦争」の感想 【経済】【読書メモ】

Posted on: 3月 1, 2010

たまには、魚の話をしよう。といっても、今日はアクアリウムの魚じゃないけど。

ワシントン条約にクロマグロが載るって流れがEUを中心に本格的に出てきたみたい。asahi.comの記事が詳しい、「マグロ取引、EU一転「禁止」 乱獲懸念の世論に配慮」とかね。ちなみに、ツナ缶やスーパーで売ってる安い刺身の「マグロ」はメバチやビンナガといってクロマグロとは別の種類なので混同しないよう注意。

原題:マグロ戦争
著者:軍司貞則
出版:アスコム 2007,3,20

そういう流れもあったので、この本を読んでみた。しかしながら、現在中心的な問題になっている大西洋の漁場や巻き網漁法についてはあまりページが割かれてなくて、ちょっと残念。

本書の扱う範囲は基本的に、日本~台湾という太平洋地域の話に留まる。興味深かったのは、マグロバブルとも言える状況が80~90年代、日本を中心に起こったという話。きっかけは三菱商事など大手商社がマグロの冷凍保存技術を確立させ、海外からの輸入が容易になったことだ。高度成長に乗る韓国や台湾に日本の中古マグロ漁船を転売することで、金融機関は売却益を、漁師は新しい船を、商社は輸入マグロを手に入れることに成功したという、ウマウマ


Fishing boat “David & Chris” at Morro Bay, CA / mikebaird
クリエイティブ・コモンズ 表示 3.0

でも、そのツケがバブル崩壊後くらいに、乱獲による漁場の荒廃、国際的な非難、過剰供給による価格の低迷を招いて国際的な規制が日本を含めて議論されたって経緯があるらしい。そして取り残される、日本の遠洋漁業関係者

なんたるマッチポンプ・・・・・・

バブル期前後のグルメブームの頃に、やたらとトロトロトロトロ言ってたけど結局、

日本の高級食 = 寿司 = クロマグロの大トロ

というのは、メディアと商社が主導になって作り出した図式なんじゃあないかと疑いたくなる。もちろん、背景にはWikiのマグロの項にある「生活の洋風化に伴う味覚の濃厚化」のように、それを受け入れる素地があったのも事実だろう。日本人は魚好き、という本書の主張は構わない。

でも、日本人は「マグロ好き」と言われると疑問を覚える。自分は魚好きだし、沿岸の白身の小魚を食べて育った身からすると、マグロは(特にトロは)「肉」であって魚ではない、と思うからだ。

だって、「炙り」になるくらい脂たらたらなんですよ?

資源管理の将来は持続性が結局、一番大事

マグロを含め海洋の水産資源は、管理が難しく、失敗すれば簡単に漁場荒廃を招く。いわゆる共有地の悲劇、というやつだ。これから先、世界的に見れば当面50年くらい食料資源に対する需要が増えることはあっても減ることはない。資源の持続的利用を可能にする方法を見つけるためにも、ガシガシと国際的な場で議論してもらいたい。


熊野・勝浦200712 / merec0
クリエイティブ・コモンズ 表示 3.0

本書を読んでも、資源量の動向とか詳しい統計データがあんまなかったのでまた別の本を読んでその辺の知識を補っておきたいと思う。

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