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性淘汰研究のマイルストーン、「Sexual selection」 その1【読書メモ】【生物学】

Posted on: 3月 3, 2010

原題:Sexual selection
著者:Malte Andersson
出版:Princeton University Press

英語のお勉強にちまちま読んでたりする。Google Books からもほぼ全文が読める

人間のオスとメスもそうだが、しばしば性別で形態が違うことが動物には良くある、これを性的二型というが、そうした違いはどのようにして進化したのだろう。それを説明する理論的な枠組みが「性淘汰」だ。この本が出版されたのは1994年、20年近く前の本だが、今でも性淘汰研究の出発点となる良い教科書だ。とりあえず、今回はchapter 1 のまとめ

Sexual selection とは何か

厳しい生存競争を勝ち抜いて長生きできても、子供がいなければ(=自分のコピーを増やせなければ)、生物学的には無価値だ。つまり、性淘汰というのは繁殖に関わるもろもろの特徴に働く自然淘汰と言い換えることもできる。配偶者をめぐる競争で役立つ形質(ex, シカやカブトムシの角)だったり、配偶相手に対する選り好みなどだ。こうしたアイディアはチャールズ・ダーウィンにより提唱されたが、1940年代くらいまでかなり批判を受けてマイナーな学説扱いをされていた。

特に「選り好み」については、オス同士の競争に比べて曖昧ではっきりしないので、ウォレスやハクスリーといった同時代人からも疑問視されていたらしい。そうした流れを変えたのが、フィッシャーによるランナウェイプロセスである。数学的に定式化されたこの仮説では、集団の中に、形質Aとそれに対する選り好み形質Bを持つ個体がいた場合、正のフィードバック作用によって集団中に、形質Aと選り好みBを持つ個体が広がっていく可能性が示されたのだ。

この辺の数学的内容は日本語の書籍だと、九大の巌佐さんの「数理生物学入門」に詳しい。
↓ 興味のある方はどぞー

配偶相手の選り好みをもたらすメカニズム

選り好みをもたらすメカニズムは様々なものが知られている。
これらは排他的なものではないので、複数の要因が影響していることもままある。

  • フィッシャーのランナウェイ過程
  • グッドジーン、適応的に良い遺伝子の指標(大きな体や病気への抵抗性)
  • 同種の認識(雑種形成による不稔や生存率の低下を避ける)
  • 直接的な利益(食物のギフトや子育て)
  • 感覚便乗
  • 繁殖タイミングのコントロール

この中で説明を必要とするのは、感覚便乗くらいだろう。
英語では、sensory bias と表現される。例えば、果実を収集して餌にするサルのような動物は果実の色に対して敏感だ。このとき、果実と似た体色を持つ個体は、そうでない個体よりも配偶相手に対して、より強い感覚的な刺激を、擬人的に表現すれば「強い印象」を与える。
このように、元々存在した感受性に乗っかる形で起きるのが感覚便乗なのである。

chapter 1 では性淘汰を引き起こすメカニズムについてざっくり議論がされていて、具体的な実例は今後の章で出てくるようだ。がんばって読み進めよう

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