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第57回日本生態学会のランチョンセミナー、科学の学術誌はどうやって作られるか 【生物学】

Posted on: 3月 20, 2010

東京大学駒場キャンパスで、3月15日~20日まで開かれた第57回日本生態学会
18日だけ顔を出したのですが、面白かった話を紹介していこうと思います。

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今回は、Springer Japan主催によるランチョンセミナー。

『Editor’s Insight:
国際誌への論文投稿のコツ、査読・編集の実際』

科学の世界で第一に信用されるのは学術誌に掲載された論文、他はすべてオマケ。
と言っても言い過ぎではありません。なぜ論文がそれほど高く評価されているかというと、「査読」という独特の審査システムがあるからです。

じゃあ、実際に査読はどのように行われてるの? 学術誌はどうやって編集されてるの? という疑問に答えるお話でした。演者は、実際に多くのジャーナルの編集長や委員を担当している東北大の河田雅圭さんに、北大FSCの斉藤隆さん九大の巌佐庸さんの3名。
日本の生態学の大御所ばっかり、すげーびっくり・・・

査読という関門、論文が雑誌に掲載されるまで

論文が発行されるまでには、以下のようなプロセスを突破しないといけません。

  1. 投稿先の決定
    研究内容に関係する雑誌の中から、論文を投稿する雑誌を選んで送ります
  2. 編集者によるチェック
    ・雑誌がカバーしてる分野の内容か
    ・研究内容は適切か
    ・引用文献の表記の仕方など、掲載する雑誌の体裁に従っているか
    今回聞いた話だと雑誌にもよるが、最低50%がここでリジェクト(掲載拒否)
  3. 査読(ピアレビュー)
    ・研究内容に新規性はあるか
    ・解析手法は妥当か
    ・論理の構成に矛盾はないか
    投稿された論文の内容を理解できる、同じ分野の研究者によるチェックが入る
  4. 論文の改訂
    ・査読で指摘された内容を基に、論文の加筆修正
    ・場合によっては実験データの取り直し
    ・修正したら、3に戻ってOKが出るまで繰り返し。
    これらの過程で査読者を納得させることができなかったら、リジェクト
  5. 雑誌に掲載
    編集者と査読者のお墨付きをもらったら、雑誌へ掲載許可(アクセプト)

雑誌が論文に求める要求レベルによってもちがいますが掲載まで進むのは、数%~多くても20%程度とのこと。超一流のNatureScience になるとWebから投稿してリジェクトされるまで、最速数時間だったりするらしい・・・恐ろしい世界や。

査読をする人は、あくまでボランティア

投稿する側にとってはきびしい制度ですが、これにより学術誌の「根拠」が担保されているわけです。そして、査読のシステムはあくまで「ボランティアによって成り立っている」ことが、セミナーの中で何度も繰り返されました。

なるほど、これまで科学の世界では「偉く」なるほど忙しいという話を聞いてきましたが、今回、その原因が何となく分かった気がします。例えば、巌佐さんは現在、編集委員を担当している雑誌が、15冊ほどあるそうです。

今日、査読された人が明日は査読する側に立つ。
そうした相互チェックのサイクルを繰り返すことで、科学の分野は発展して行くのですね。

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コメント / トラックバック2件 to "第57回日本生態学会のランチョンセミナー、科学の学術誌はどうやって作られるか 【生物学】"

しかし、適当な学会誌だと査読も超適当だったりします。工学分野だけなのかもしれませんが、教授は自分の英語査読を学生(修士)に投げたりしてますし、企業の研究員もインターンに来た学生に投げたりとかかなりありますよ。実際、ウチの大学でもM1が英語の博士論文を査読してたりします。それが工学部はゴミ(論文)製造機といわれるゆえでもありまして・・・(^_^;)

まあ、ボランティア精神に任せてるからには、そういうお役所仕事的に堕落が生じることもあるでしょう。
手抜きしようと思えば、いくらでも出来ますし。
ただ、研究者へインパクトを与える優れた雑誌を作るには相応の努力が必要なんだろうなあ、と思いました。

・優秀なレビュアーをどれだけ確保できるか
・優れた投稿を集める誌面作り+話題作りができるか
・スピーディな編集体制で投稿者とコミュニケーションできるか

などなど。査読システムについて抱いた率直な感想は、
「民主主義は最悪の政治形態だが、それでもこれまで人類が作り出した中では最もマシ」
っていうチャーチルの言葉を思い出しました。

生態学は研究者コミュニティの絶対数が小さかったり、企業の利権と絡むことが少なかったりする辺りで
まだまだ牧歌的でいられるというのもあるかもしれません。

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