水槽と家具

「マグロは絶滅危惧種か」 【読書メモ】【生物学】

Posted on: 6月 3, 2010

原題:マグロは絶滅危惧種か
著者:魚住雄二
監修:日本水産学会
出版:成山堂書店, 2003, 10, 28 初版

春先はマグロの保護に関する議論で熱くなったけど水産学者の知見はあまり知らない、なのでいまさらながら勉強中。このほかにも何冊かマグロ関連の本を借りてきたからまとめて読む。

2010年の春にクロマグロをワシントン条約附属書に掲載するって騒ぎになったけど、同様の動きは20年前からある。本書の前半は90年代のクロマグロのワシントン条約掲載提案に関わる経緯をまとめ、絶滅危惧種の定義を解説し、マグロ類がそれに当てはまるか検討する。後半は、水産資源としてもちいられるマグロ類の資源動向と、持続可能な漁業にむけた取り組みの紹介。

高級な刺身素材のクロマグロやミナミマグロは80年代から90年代にかけて乱獲され、資源量がかなり減少した。その後は90年代から2000年にかけて国際的な規制の枠組みが構築され、資源量は安定するようになってきた、と著者は強調している。ただ、資源利用の健全さをはかる Maximal Sustainable Yield (MSY:最大持続生産量) という水準からは、クロマグロもミナミマグロも大きく下回ったままだ。MSY とは、新しい稚魚の加入で漁獲による個体数減少がプラマイ0になっている状態を指す、つまり銀行の利息だけで生活できてるようなもの。

漁獲量をいろいろ変えて試算したシミュレーションでは、漁獲量を現状の水準で規制し続ければ、だいたい25年後にはMSY水準まで回復しそうだと紹介される。

総評としては、水産学者としての意見はバシバシ伝わってきたけど、それ以外の視点は、ほとんど議論が掘り下げられてないのが残念。

たとえば、実際に規制をどう実施するかとか、漁業国間の利害関係といった政治問題。あと、漁獲が中心で、蓄養についてはほとんど触れられてさえいない。
WWFを始めとした「自然保護」という異なる価値観に対して、どう自分達の正しさを主張するのだろうか、ちょっと不安になる。「野生動物をその環境も含めて保全する」のと「絶滅しないように資源利用する」のでは、目標にする個体数のレベルなどはまた違ってきそうだけど、その辺はどうなんだろ。

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