水槽と家具

「マグロの科学」【読書メモ】【生物学】

Posted on: 6月 23, 2010

原題:マグロの科学-その生産から消費まで-
著者:小野征一郎
出版:成山堂出版

水産、経済、生物、生化学といったマグロに関連する知見を横断的にまとめた本。

マグロについて勉強するにあたってのリファレンスブック的位置づけ。他の本でも参考文献として名前が挙がっていたしね。ただ、研究者による専門的な内容だから分野外の研究については???ってなってしまうところもあった。マグロを捕まえるための漁具の構造と力学的特性とか、さすがにさっぱり・・・。

マグロを取り巻く国際情勢

90年代から2000年代にかけてクロマグロの漁獲規制の枠組みが成立した理由の一つは、漁獲のほとんどが日本で刺身用として輸入していたことによるようだ。たくさん獲っても、買取り場所がなければ意味がない。出口の部分でしぼるのが容易だったおかげで、各国それぞれの漁船に対してマグロ漁獲枠を許可するホワイトリスト方式を適用することになった。

とはいえ、その後、若魚を採集 → 沿岸で蓄養 → 日本に輸出! という蓄養蚕業がオーストラリアや地中海を中心に盛んになったせいで漁獲管理が実質できなくなって、春先にワシントン条約提案となったわけだが・・・

近年になってクロマグロ以外のマグロ類(ビンナガ、メバチ、キハダなど)の漁獲が増加傾向にある。刺身ではなく、ペットフードやツナ缶用だ。関係する国が増えるほど利害関係は複雑になるので、国際的な漁獲枠をコントロールするのは難しくなる。クロマグロで行ったような乱獲を繰り返さないためにも、日本には漁獲資源の国際的な管理に積極的に取り組んでほしい。

マグロの筋肉の特性

章立てで全く内容が違うから話は全然変わるけど、マグロの肉質の生化学に関する章で、マグロを含めて冷帯から熱帯まで、様々な魚種の筋肉の変成に要するエネルギーを比較すると、北の寒いところの魚(サケ・マスやタラなど)は小さな熱で変成してしまうらしい。やっぱり基礎的な代謝に必要なエネルギー自体が、全然違うんだろうなあ。

マグロの血合肉のヘモグロビン含有量は哺乳類のものとほぼ同じで発熱量も大きい、そのため体温は水温より10℃近く高い。高速で長時間遊泳するための適応なのだが、その一方で大量の酸素を必要とするので、泳いで鰓に海水を送り続けなければ酸欠状態になってしまう。

マグロは寝ている間も泳いでいる、という話があるが、
マグロは泳ぐのを止めると死んでしまう、のである。

泳ぐために酸素が必要で、酸素が必要だから泳ぐ。
海のスーパーカーというか、マッチポンプというか・・・

 

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