水槽と家具

フナの産卵数を決める要因、福井県三方湖の場合 【生物学】

Posted on: 6月 27, 2010

今月はつくば進化生態セミナーに参加してきた。今回の演者は、国立環境研究所の松崎慎一郎さんで、「フナの産卵数を決める局所環境要因とランドスケープ要因」という内容。

huna

日本の淡水魚と水田

日本で身近な淡水魚のメダカやフナ、ドジョウは、春の増水したとき一時的に出現する湿地帯や、それと良く似た環境の水田を産卵場として利用してきた。しかし近年では、水田の効率・集約化を行うために圃場整備が進んだため水路がコンクリ・暗渠化したのと、稲の根張りを良くするため夏に水抜きをするようになった。その結果、水田が産卵場としての環境に適さなくなったため、淡水魚類の個体数は減少している。

松崎さんは、福井県の三方湖でのフィールド調査で、フナの産卵数と仔稚魚の数に影響する要因を検討している。産卵数については親個体のソースである湖からの距離、仔稚魚では隠れ家となる抽水植物が大きな効果を与えているようだ。

後半は、フナの遺伝的多様性の話とその保全の話に中心が移る。今年、東大の海洋研から発表された論文(プレスリリース)によると、フナはユーラシア・日本・台湾・琉球でそれぞれ数百万年単位で遺伝的に分化が進んでいることが明らかになった。その一方で、従来は形態的に区別されていたギンブナ、キンブナ、オオキンブナ、ナガブナといった亜種の分類は、それぞれの地域集団で入れ子状になっており、系統関係を反映していなかった。それゆえ、形態的な変異がどうやって維持されているか(表現型可塑性や生態型?)は、今後の研究が待たれる点とのこと。

 

生態学と保全

基礎研究のデータが無いがゆえに保護活動が進まないし、研究予算もつきにくいという現状があることや、科学的データを収集するという事と、フナ類を保全するために何をやるか、という異なる目的に折り合いをつけるかが難しい、という保全研究ならではの悩みも聞く事ができた。

魚類の保全を考えると後者に力を入れるべきなのは当然だ。しかし、一人の研究者として、業績をあげ論文を書くためには前者を放置することもできない。実際の作業としても、前者はフィールド調査・実験が必要で、後者は地域の人々との共同作業・学習会が必須になるので、要求される知識や経験がまったく異なってくる。

 

にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

ページ

2010年6月
« 5月   7月 »
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

人気ブログランキング

人気ブログランキング

日本ブログ村

観賞魚ブログ
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。