水槽と家具

ポストゲノム時代の先触れ?「一万年の進化爆発」 【生物学】【経済】

Posted on: 7月 5, 2010

 

原題:The 10000 YEAR EXPLOSION
         – How Civilization Accelerated Human Evolution –
邦題:一万年の進化爆発 文明が進化を加速した
著者:Gregory Cochran, Henry Harpending
訳者:古川奈々子
出版:日経BP社

人類に対する自然選択と文明化

この本の主張を三行で要約すると、

『人類の「生物学的な」進化は、大昔に止まった!
現代に生きる、ありとあらゆる地域の人種や民族は遺伝的にほとんど同質』

なんて文化人類学にありがちな主張は間違い!

生物学者には、そこはかとなく思ってる人も多いだろうけど、それ言ったらあまりにKYだから声を大きく主張してないだけなのに。下手な物言いすると、人種差別主義者扱いされるしね。けれど、人間の進化と歴史にも自然選択が大きな影響を与えた、という考えはダーウィンの「人間の由来と性選択」にまでさかのぼる進化生物学の大きなテーマだ。

ジャレド・ダイヤモンドは「銃・病原菌・鉄」で、南北アメリカでの白人の侵略の成功が病原菌耐性に拠ると主張している。以前に紹介したグレゴリー・クラークの「10万年の世界経済史」は、産業革命以前においての西洋では経済格差が子供の数の格差と直結してるって議論も出てきた。

農耕生活にヒトが最適化されてる + 地域・人種ごとでその度合いは異なる

っていうこの本の基本路線は妥当だと思う。

 

今の社会はヒトの多様性を受け入れる準備があるのか?

自分はこの本が先触れだと思った。

本書が解答を与えてはくれない多くの疑問の一つが、
「今の社会はヒトの多様性を受け入れる準備があるのか?」ということ。

たぶん、ノー

法律は、どの人間も平等で均質であることを条件に作られている。
保険や医療、教育もまだそう。社会倫理も同様、身長の高さや顔の美醜を「努力でどうにかなるもの」と考える人はあまりいない。では、「知能」も同じだと言われたら?

本書で印象的な話が、犬の品種による学習能力の違い。

平均的なボーダーコリーは、5回の反復で新しい命令を学び、95%の確率で正しく反応することができるのに対し、バセットハウンドは、80~100回繰り返し学習させても、正しい反応が得られるのは25%程度である。

ここまで極端じゃないにしても、学習で個人差があることを前提に置くか置かないかという、たったそれだけのことでも、今の社会のあり方は大きく影響を受けるはず。

この本が呈示しようとした世界観は、人権思想の発明以来の人類観に対する革命だと思うけど、生物学を学んでない人に、まだまだそれを「肌感覚」で伝えられる現状にはない。でも、それはたぶん遠い未来というわけでもない。

 

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