水槽と家具

進化の存在証明【生物学】【読書メモ】

Posted on: 8月 15, 2010

原題:The gratest show on earth – the evidence for evolution
邦題:進化の存在証明
著者:Richard Dawkins
訳者:垂水雄二
出版:早川書房, 2009/11/25 初版

 

ダーウィンへのリスペクトとID論者への徹底抗戦

2009年のダーウィン生誕100周年を締めくくる形で出版されたドーキンスによる、種の起源へのリスペクト満載の進化の解説書。最初にローマ帝国の存在やホロコーストの存在を否定する架空の歴史否定論者というものを取り上げて皮肉っている。この本の主要な目的は「進化なんてデタラメで実証されてない『仮説』に過ぎない」と吹聴する人間および組織に対してのドーキンスの反論であり、挑戦状である。

『ダーウィンのロットワイラー』の異名はダテじゃないね。

過去に起きた歴史的な現象である「進化」が実際に起きたことを支持する事実がどれほどあるか示すことで(その中には、実験室で再現可能な例さえ当然、存在する)、生物学において『知的な設計者』というアイデアが入り込む余地はないことを示す。内容を概観すると、集団遺伝学に基づく自然淘汰の実例に始まり、歴史を時間的に再構築する指標となる年代測定の技術論、化石記録の連続性についての論証に、発生メカニズムの巧妙さ、などなど。
出てくるネタが細菌培養やグッピーの野外実験など解釈とデータが確立されている話題で、初学者の思考トレーニングには良い。その反面、ドーキンス本やその他の進化生物学に関する解説書を読んでいる人間からすると、新鮮味が少し薄いかもしれない。

最後の付録では、人間を神が創造したと信じるアメリカ人が40%近く存在する、という衝撃的な?調査結果が示される。

 

啓蒙活動の永久闘争

上の調査を見ても、日本ではキリスト信仰が根付いてないから進化論は事実として受け入れられてるだろう、と素朴に思ってる人がアマゾンのレビューにもいるようだ。けど、それすら疑わしいと自分は思う。進化論よりもずっと昔に否定された熱力学の第二種永久機関ニュース記事になったりするくらいだから、進化論についての科学リテラシーが日本では十分に行き渡ってると言い切れる自信がない。

ドーキンスの前著、「神は妄想である」では人間がプリミティブに持つ認識と直感は、科学で登場するスケールに比べて極めて限られたものだということが議論される、せいぜい3次元, 数m, 数kg, 数ヶ月の範囲でしかない。こうした制約を拡張して、複雑な科学を理解するためには手間暇かけた教育によって学習していくしかない。宗教的な迷信を打ち払うことが啓蒙思想の目的だったが、今度の敵は人間の内面にある認知的な偏りだ。科学をさらに発展させるためには新しく生まれてくる子供達にも当然、そうした教育を施す必要がある。それらは、データと論理と数学によって記述される世界であり、宗教家の夢想する戒律と倫理と道徳が支配する世界とは縁遠い。

今起こっているのは、ドーキンスを筆頭とする生物学者 VS キリスト・イスラムの宗教家、の間での子供の学習時間をめぐる戦いでもあるのだ。自分達のミームを次世代につなげるためには、子供にそれを伝えねばならない。

 

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