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Sexual Selection C.8 配偶者選好による利益【生物学】【読書メモ】

Posted on: 1月 3, 2011

AnderssonのSexual Selection の第8章を読んだのでまとめ。
この章では、配偶者に対する選好性が雌雄両方で見られ、そうした配偶者に対する選好性がどのような要因で進化するか説明される。

 

Benefits of mate Choice(配偶者選好がもたらす利益)

  1. 受精能や繁殖価
  2. 配偶者への栄養供給
  3. 親としての能力
  4. (繁殖のための)資源防衛や縄張りの維持
  5. 捕食者やペア外オスによるハラスメントの回避
  6. 遺伝的補完(近親交配の回避)
  7. 子供の質や高い生存力

配偶者選好を行う要因には、以上のような理由が考えられる。
1, 2, 4, 7に関しては詳細な説明を追記する。

  • 受精能や繁殖価

確実な受精や多くの卵を提供してくれる配偶者は好まれやすい。カラシン類のレモンテトラ(Hyphessobrychon pulchripinnis)は、オスの精子量に制約があり、複数回放精すると受精能が低下する。そのため、メスは最近放精してないオスをより好む。


MY FISH 044 / sapienssolutions
クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1

また一般的に、オスは体の大きなメスを好む。昆虫、魚類、トカゲなどさまざまな分類群で知られる。体サイズの大きなメスは産卵数が多い。Olsson によるトカゲ(Lacerta agilis)の研究では、体サイズの大きなメスは小さなメスの3倍の卵を産んだ。

 

  • 配偶者への栄養供給

配偶者への栄養供給には、ギフトと子への投資という2つの役割が考えられる。

鳥類の多くは、オスが餌を集めてメスに与えることが知られる。Thornhill はガガンボモドキHylobittacus apicalis)に関する研究で、オスがギフトを行う理由を明らかにした。獲得した食物の大きさと交尾時間が関係し、大きな獲物をもたらすオスほど長く交尾することに成功する。

バッタやコオロギでは、オスが渡す精包に含まれる栄養がメスの卵生産を左右する。カマキリやクモでは交尾中にメスがオスを捕食することがあり、これもオスによる栄養供給とみなされることがある。しかしながら、オスにとっては非適応的な行動なため、適応的な行動かは疑わしい。

 

  • (繁殖のための)資源防衛や縄張りの維持

カエル(Rana clamitans)では、体サイズの大きなオスは質の良い池を縄張りにできるので、メスが産卵した卵の孵化率が高い。鳥類や哺乳類では、質が良かったり広い餌場を縄張りに持つオスが好まれる。こうした縄張りは、オスにとっては繁殖の機会を得るだけでなく、産まれた子供の生存率を高める効果もあるので、性淘汰と自然淘汰の両方の役割を持つ。

縄張りは、一夫一妻から一夫多妻への配偶システムの切り替えをもたらす進化をも説明すると考えられた。縄張りの質にばらつきがあるとき、最高の質の縄張りを持つペアが形成されると、次のメスはもっと低い質の縄張りのオスとペアを組むか、最高の縄張りを持つオスの2番目の配偶者になって一夫多妻化するか、選ぶことになる。こうしたモデルは、ヒバリ(Calmospiza melanocorys)やケニアのKipsigis 族の配偶システムの解析に用いられた。

しかしながら、縄張りに相当する資源の生物学的な解釈や適応度の測定が困難なことから実証が難しい。また、一夫多妻における配偶者選好を説明できない、といった欠点があるため、一夫多妻に移るコストがない、など異なる対立仮説を設定するべきと批判された。


Green Frog / Dendroica cerulea
クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1

    • 子供の質や高い生存力

    ショウジョウバエの実験ではランダムにペアリングさせるより、複数オスで繁殖させた方が2%生存率が高かった。ただし、オス間競争と選好性のどちらがその原因かは不明。

    キチョウ(Colias属)では、グルコースリン酸異性化酵素(PGI)に関わる対立遺伝子に関して、ある遺伝型に対してメスが選好性を示した。メスに好まれる遺伝型の割合を野外で調べたところ、好まれる型とそうでない型が50:50程度だったのに対し、配偶したペアではメスに好まれる遺伝型が圧倒的に多かった。
    PGIは採餌行動のような多くの行動に影響し、PGIの遺伝型がヘテロ接合のときにパフォーマンスが最大になるので、超優性によって維持されていると考えられる。

    Spadefoot toad (Scaphiopus multiplicatus)では、大きなオスで受精させた卵から孵化した幼生は、小さなオスで受精させた卵より早く成長し、変態した。

     

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